テレイグジスタンスとアイデンティティ
最近複数の病院と臨床研究をしています。
臨床する病院はたくさんありますが担当技術者は僕しかいません。これまで臨床のために2年間ほど月一で富山に出張していましたがそれだけで十分辛いです。これで患者が増えたら僕のQOLに甚大な被害が生じます。
医者の不養生とは言いますが僕は医者ではないので積極的に養生していきたい。むしろ仕事したくない。ということで最近は人を雇うことばかり妄想しています。臨床の技術サイド(僕側)の人間が雇えれば随分と楽になることでしょう。とはいえ自分が患者を把握していない状況は好ましくなく、理想的には体だけ誰か代わりに出張してもらってスマホ+ビデオチャットアプリで僕がその人を遠隔オペレーションできると良いなと思います。これはつまり人間を使ったテレイグジスタンスですね。
ちなみに僕はこのテレイグジスタンスを提唱した舘先生の孫弟子にあたります。一般にテレイグジスタンスは遠隔操縦対象としてロボットを用いるのが正統派で、現在世界最高のテレイグロボはたぶん舘研のTelesar Vです。これは遠隔地の触覚情報すらかなりのレベルでユーザにフィードバックできるため、リアリティが半端じゃ無いです。実際に体験すると、このロボを通して自分の後ろ姿を見た瞬間のインパクトが凄すぎて「魂の外在化」が如何に容易であるかを痛感できます。しかしながら運動性能は前述の「人間を遠隔オペレーション」に比べて遥かに及ばず、現在でもマジでテレイグジスタンスするなら人間を使ったほうが高機能でリーズナブルです。
義体として、ロボットと人間はどう違うのか
では、遠隔のロボットと遠隔の人間と、入出力において全く同様の高度な機能を備えたとき、それらはどう違うのでしょうか。或いは違わないのでしょうか。機能的な差異がなくなったとするとあとは「自分がその体をどう思うか」。つまりアイデンティティの問題になります。アイデンティティの差異を見極めるには極めてパーソナルな課題、例えば性の問題などを取り扱うとよさそうです。Twitterにも書きましたが例えば次のような設問が考えられます。(以下特に断りのない限りロボットと人間の義体に機能的な差異は無いとします)
1.ロボット義体で自分の恋人とセックス出来るか。人間義体で自分の恋人とセックス出来るか。
回答は人それぞれでしょうが、人数を集めてアンケートを取れば後者のほうが「できない」に偏りそうです。つまり少なくともロボットの方がアイデンティティ親和性が高いと言えそうです。では次はどうでしょうか。
2.人間義体で自分の恋人とセックス出来るか。人間義体化後に知り合った人とセックス出来るか。
これはもうかなり後者に「できる」の軍配が上がるでしょう。これは相手の視点が大きく作用していそうです。つまり擬態化前の自分と親密になった人と擬態化後に親密になる人でセックスに至るハードルが違うということです。アイデンティティは少なからず「他者からどう見られているか」に影響されるので、擬態化後に初対面を迎えた人たちにとっては擬態化した自分こそが「その人」であり、アイデンティティがそれを受容しています。
3.人間義体化後1年間生活したのち、義体化前から付き合っており義体化以来肉体関係のなかった自分の恋人とセックス出来るか。
言うまでもなく1.の時と答えは大きく変わるでしょう。アイデンティティは時間の関数と言えそうです。僕はそもそも「人格とは昨日までの自分の模倣である」と考えており、長期間役に入り込んだ役者がそちらの人格へシフトしてしまうのはむしろ当然のことだと思っています。
僕たちは例外的な行為に及んだ時には「自分らしくない」という大変不思議な感覚を持ちます。これは実態としての自分とアイデンティティに矛盾を感じているということでしょう。しかしそのような行為も1年間続けば「自分はこういう人間だ」と思えるのではないでしょうか。肉体のケースも同じで、むしろ長らく義体化した暁には自分の体に戻った時にアイデンティティが再崩壊しそうです。
4.(番外編)自分と同性の実子を義体化した時、自分の配偶者(義体のもう一人の親)とセックス出来るか。
これは@hsgnが教えてくれました。実の娘の体に妻の魂が宿ったというお話ですね。究極や。
まあ娘が広末なら誰も責められまいて。
























